「集密」への大冒険

ある授業の期末レポートのために、E・H・ゴンブリッチ・著、瀬戸慶久・訳『芸術と幻影』(岩崎美術社、1979、ISBN:4753410226という本を大学の図書館で探しました。
検索をかけてみると、ちゃんとヒットしたのですが、配架場所は「集密」などという聞き慣れない場所。
仕方ないので、僕は「集密」があるという半地下の1階へと、初めて足を踏み入れたのです…。


エレベーターを降りると目の前はいきなり扉。
それを開けて、おそるおそる中の様子を窺うと、驚くべきものが僕の目に飛び込んできました。
…いや、これは密集しすぎだよ!


なんと、本棚どうしが5つくらいずつ密着していて、その間には通路どころか隙間だに存在せず、内部にある本にはどう頑張っても手出しできない状況だったのです。
僕が探している本は、この本棚のサンドイッチの中、それもだいぶ奥の方にあるようなのでした。
手出しできないよ。もうだめだ。


…って、ちょっと待て!
図書館の本が手出しできないなんて馬鹿な話があるか!?


と思ってよく見ると、本棚には不思議なボタンが付いていました。
なんとこのボタンは、押すと本棚が動いてサンドイッチが2つに分かたれ、内部に通路を確保することで埋もれた本をも発掘することができるという素晴らしいシロモノなのでした。


さっそくボタンを押すと、本棚は何やら警告音をピーピー鳴らしながらも特に反抗せずスライドし、めでたく僕は本を手に入れることができたのでした。


このようにして、レポートに必要な本の確保に成功した僕ですが、大冒険の末に資料を集めたことに深い満足を覚えると同時にあたかも熱心に勉強したかのような錯覚に陥り、その後は特にレポートの作成を進めようとしていません。