ぼくの正義

ぼくは詩を書く
第一行目を書く
彫刻刀が、朝狂って、立ちあがる
それがぼくの正義だ!


吉増剛造「朝狂って」第1連


やっぱりこの4行は印象的すぎるわけで、ネット的には「それが俺のジャスティス」と叫ぶべきところで、僕はこっそり、「それがぼくの正義だ」と呟いてみたりしているのですが、それはともかく、このたび吉増剛造詩集』(思潮社<現代詩文庫>/1971/asin:4783707405を読みました。


うーん、上に挙げた「朝狂って」(第二詩集『黄金詩篇』所収)も若い詩だなあと思ってたけど、全篇収録されている第一詩集『出発』は、さらに若い!
表題作の「出発」で「おまえは腐敗している」というリフレインを執拗に繰り返したりするところなど、青春の標準装備ともいうべき反抗や苛立ちを無防備に表出してしまっている感がありました。(いや、それはそれでまたいいのだけれど。)
一方で、『黄金詩篇』になると言葉のスピードが速すぎて反抗も苛立ちもアッという間に振り落としている感じです。


まあ、「朝狂って」についていえば、第2連は「朝焼けや乳房が美しいとはかぎらない/美が第一とはかぎらない/全音楽はウソッぱちだ!」と続いていくし、最後は「転落デキナイヨー!/剣の上をツツッと走ったが、消えないぞ世界!」で終わるので、反抗しているといえば反抗しているし、苛立っているといえば苛立っているのかもしれませんが、しかし「出発」点が反抗や苛立ちでなく「ぼくの正義」であるところが、やっぱり第二詩集なんでしょうね。