『新車情報』の思い出

新車情報


大学の図書館の書庫にすごく古そうなエレベーターがありまして、そいつの天井がひどく低いのです。
だから僕はそれに乗ると、つい天井と頭の間にこぶし何個分のすき間があるか試したくなります。
そう、これは独立U局オリジナルコンテンツの金字塔である新車情報』(tvk、77年7月〜05年4月)の司会・三本和彦さんのマネでして、あの番組でいつも三本さんは、自動車の運転席に座ったまま頭と天井の間にこぶしをつっこみ、その広さを測っていたのでした。


三本さんと『新車情報』は我々tvkファン(というか、この場合「TVKテレビファン」のほうが適当か)の心に深く刻みこまれています。
番組中、歯に衣着せぬ物言いで自動車メーカーの担当者に質問を浴びせていく三本さんは、よく最初に“不躾な番組なもんで…”と断っていましたが、この発言から「不躾棒」なる用語が生まれました。主にトランクのサイズを測るために使う番組オリジナルの物差しを、ファンがこう呼んだのです。
これ、番組グッズとして売り出したら案外いけるんじゃないかと思ってたんだけど…どうでしょう?
試乗時の忘れられないフレーズといえば、“いつもの山坂道”、そして“この番組では62デシベル以下を高級車と呼んでいます”。それから視聴者からの投票で決定する新車情報大賞」は、プラス票のみの投票はアリだが、マイナス票のみの投票は無効ってのも、なぜか印象に残っています。


あと、三本さんが視聴者からの質問に答えるコーナーもありました。
その最終回では、子供からどうしたらレーサーになれるかみたいな質問が来ていたのですが、これに対して三本さんは、メチャクチャ金がかかるし死ぬほど狭き門だからやめろと、夢も希望もありゃしないガチンコな答えを返していました。
アシスタント・野中美里アナ(当時)のひきつった笑顔が忘れられません。


新車情報』の終わりは、すなわち1つの時代の終わりでした。
それはテレビ神奈川の歴史上においてでもありますし、ローカル番組の歴史においてでもあるのですが、それに加え、たぶん日本の自動車産業の歴史においてでもあるのだと思います。
こんな風に考えると、県域独立U局の低予算番組の話なのに、えらく重要なことのように思えません?
そういう錯覚を頼りに、僕は生きていきたいなあ。


(画像はtvk04年6月タイムテーブルより。左が三本さん、右が野中アナ。)


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