線路は続くのどこまでも?

交通新聞


岩井克人・著『貨幣論』(筑摩書房ちくま学芸文庫>/1998<単行本1993>)読了。
ひどく乱暴にまとめれば、貨幣が貨幣として使われるのはそれが未来永劫にわたってどこまでも貨幣として使われることが期待されるからであり、そうやって貨幣が使われることによってまた同じ期待がなされる、ということを論じているようです。
その上で著者は、資本主義の本当の危機は恐慌ではなく、貨幣が貨幣であることをやめてしまうことによって起きる「ハイパー・インフレーション」だと述べていますが、幸いというかなんというか、我々は世界貨幣そのものを崩壊させてしまうようなそれをいまだ目にしていません。
貨幣は続くよどこまでも、というわけで、僕たちは例えば愛のそれなんかよりもよっぽど貨幣の永遠を信じているわけですが…そうそう、そういえば「線路は続くよどこまでも」って真っ赤な嘘ですよね。
個人的には、ジュール・ヴェルヌの『八十日間世界一周で、開通したということになっていた鉄道が実はまだ工事中で、線路が途切れてさあ大変というシーンが妙に心に残っているのですが、まああの主人公はそれがもとで奥さんつかまえたのだから人間万事塞翁が馬ということでいいとして、実際僕たちが電車に乗ってもどこかで線路はぷっつり途切れるし、そうじゃなければ同じ所をぐるぐる回らされたあげくに大崎止まりとかいう現実を突きつけられることになるのです。


突然ここから本題。
書泉グランデに行くと精神世界フロアばかり見ているのですが、きのう久しぶりに鉄道フロアに足を運びましたら、交通新聞が売られているのにいまさら気がつきまして、購入してきました。12年12月25日付・第19759号。
JR時刻表なんかも出している交通新聞社が発行元。ブランケット判4面1部80円日刊ですが、土曜・日曜・祝日休刊です。一面下コラムに「墨滴」
交通新聞社ウェブサイト(http://www.kotsu.co.jp/)にある新聞の紹介ページでは、「鉄道、航空、自動車などの交通機関はもとより、観光、旅行、経済など交通・運輸界にかかわる様ざまな情報を提供している総合専門紙」とされていますが、ほとんどの記事はJRにまつわる話題ですね。まあ株主の構成見ても、JR関連会社だって分かりますし。本社はなぜか麹町東急ビル7階にあったりしますけど。
最終面を見ると「ニューイヤー駅伝出場」とか書いてあって、“「交通」って、自分の足で走るのも含めてるわけ!?”と一瞬びっくりしたりしなかったりしたんですが、JR東日本ランニングチームの話でした。このへんもJR関係者向け、なんでしょうね。


線路とか新聞とかが(時間的な意味で)どこまで続くか分かったものではなく、その崩壊の歴史的必然性は貨幣のそれよりもむしろ愛のそれに近いと思われますが、だからこそあえて僕は「線路は続くよどこまでも」と歌いつつ、電車の中で新聞を愛読し続けたいと思います。


貨幣論 (ちくま学芸文庫)

貨幣論 (ちくま学芸文庫)